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第46回日本食品照射研究協議会(2010年12月3日)

教育講演および討論会(概要)


教育講演1 「放射線照射食品の検知法-通知法の解説とその運用について-」

堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所)


殺菌・殺虫・発芽防止などの目的で、農産物や食品への放射線(ガンマ線、エックス線、電子線)を照射する食品照射技術は、WHOにより健全性が確認されている。諸外国では消費者の権利を保護する目的で表示が義務付けられており、その適正化を図る目的で検知法が利用されている。

我が国では食品衛生法第11条「食品一般の製造、加工及び調理基準」により、馬鈴薯の発芽抑制を目的とした場合を例外として、食品への放射線照射は認められていない。しかし、諸外国では様々な食品に照射が行われており、多くの食品を輸入に頼っている我が国では、海外から照射食品が誤って輸入される恐れがあり、照射食品を輸入した場合は、食品衛生法11条違反として取り扱われる。そのため、特に輸入食品に対して照射の有無を判別する検知法の整備が不可欠である。

現在、日本では熱ルミネッセンス(TL)法に加えて2-アルキルシクロブタノン(ACB)法が厚生労働省より公定法として通知されている。ACB法は、本年3月に新しく整備されたもので、これまで、香辛料、野菜、果実に適用されてきた熱ルミネッセンス(TL)法に加えて、畜肉・魚介類に適用できる検査方法が拡充された。

通知では特定のアルキルシクロブタノン法を限定していない。選択した試験法について、性能評価試験を実施し満足する結果が得られれば、その試験法により試験することが可能であるよう、評価項目が整備された。講演では、この内容が詳細・丁寧に説明された。

また、熱ルミネッセンス法についても、本年3月の改定における変更点の解説、今後の展望などが紹介された。

検疫所では、整備された検知法を用いて輸入食品を対象としたモニタリング検査を実施しており、本年はモニタリング計画に基づき、540件程度についての検査を実施中である。